竹とんぼ
左に行けば左駅、右に行けば右駅と丁度駅と駅の真ん中に実家がある。
その急行の止まらない左駅の方に向かうと中に本通りから一本外れた商店街の一角に竹とんぼをつくり露店を出すおじいちゃんがいた。
今日なんだかその方がふっと思い出され、私の前から離れなかった。
高校か大学か忘れてしまったけど、よくいるのを見ていて、話しかける理由も特にないけれど、あのいつもいる感は今でも心に残っている。
なんの為にあそこにいたのか。商売の為なのか。何かを示しているのか。
探りに探りたくなるけれど、時は今日まで過ぎていた。
今日、ネットで探すと三年前の記事で92歳だった。竹匠。
そんでもってかなり色々な所に取り上げられている様子。
小学校で竹細工を指導したりと、なんとまあ素敵な人だなと思った。
そういう地域の人が地域の学校で活躍されているのは嬉しい。
あの人は一人寂しいようにも見えて、頑張っているようにも見えて、何かを語りたいようにも見えて、でも無口で、存在がこちらに染みてくるような感じ。ものすごく質素なのだけど、ホログラムのような方。でもそれは通る時の私の心を写していたのかもしれない。
今日いきなり思い出され、なんだか暖かくて、冷めそうで、その人が私に何かを言いたいようで、思い出されただけなのだけどすごくすごく不思議な時間を過ごした。夢のような時間。
逢いたいです。