mariannelife

higashiyoshino since 2018

ナメクジ

我が家の台所は1950~60年代のコンクリート製のシンクでそれを直しながら使っている。その台所はヤツにとって魅力的な湿りがありよく見る。東京の台所にヤツがいたなんて事はなかった。野外にたまに見かけたくらいだ。

ヤツはそのコンクリートを這ってどこからともなくやってくる。塩をかけると、溶ける。悪いなと思うので水をかける、そして排水溝へ。その排水は川に流れる。この村にきてまず驚いたのは排水は全て川へ。おったまげ。便所は汲み取りなので安心して東吉野の川に入ってください。

この地のヤツは大人の中指くらい大きい。だから模様も大きくオエ―となってしまう。水をかけて追い出すと進路を転回しそれが文字のようになる。見ていると大胆な折り返しで「し」「J」「V」もじもじ君をひとりで思い出してしまうが、冷静に見つめる。どんな文字になるのか?そしてもしや、何か伝えたいことがあるのか?たいてい、折り返して「I」の形で一直線で何処かへ逃げてゆく。私たちに害がないため、そのままにしておく。夫が洗い物をしていたら、「ギャー」と驚いていたが、「うん、いるんだよ」とこちらはもう慣れた。

そんな私でも、椀を洗って乾かして伏せておいたものの中側中央に張り付いていた時は高い声でキャーと叫んだ。みそ汁を入れようとしたら居た。子たちもやって来た。まじまじと見つめる若君。「ナメクジだよこれは、、、」と私いうと「ちがう!これはナメクジじゃない!かたつむりの真似だ!」と勇ましく語った。「角があるし」と確かに角があった。塩をかけてみせてやろうとかけ、溶けてきたのでまた水で流して、チラシですくって庭へ投げさようならと言った。

若君の勇ましさが印象的で、「母の友」という雑誌でこどものひとことを募集しているので直ぐはがきを投函した。